『前立腺がん』 健康メモより
前立腺がんは、最近、十年間で、最も増加率の高いがんとなっていて、統計からも、五十五歳以上の男性に多く見られ年齢がかさむにつれて発生率が上昇する結果が出ています。 その原因は、生活の欧米化と高齢化が進んだためだと言われています。
そこで、医師会と市は、他市に先駆けて、平成十二年七月から五十五歳以上の男性を対象にPSA(前立腺特異抗体)という血液検査で前立腺がん検診事業を開始しました。
前立腺は、男性の膀胱の出口を取り巻く精液の一部を分泌する臓器です。

PSAは、前立腺の細胞の中にある酵素で、がんのときに細胞の外にある血管の中へ、特に多く流れ出す特徴があります。
かなり敏感に反応するため、がんの早期発見にたぐいまれな目安として使われています。
このがんの症状は、排尿の異常や血尿があげられますが、このような症状で医療機関を訪れたときには、すでにがんが進行して前立腺から周囲に広がっている場合が多く、特に、骨に転移しやすく、転移すると痛みや病的骨折をおこして悲惨な状態に陥ります。
幸いにして、このがんは、多くの場合、ホルモン治療によく反応するため、これによって一定の効果が得られますが、早めの治療が望まれます。

また、前立腺の中だけにとどまった場合は摘出や放射線治療が期待できます。

PSA検査は、この早い時期の発見を可能にした優れた血液検査です。

検査は、市内の医療施設で行われ、数値結果が高い場合、指定された専門の二次検診施設で検査を受け、確実な診断により専門医療施設で治療を受けることになりますが、早期発見のためにもPSAの検診を受けられることをおすすめします。
(2000.10)


茨木市医師会 都田 慶一